西暦2000年”ミレニアムイヤー”のファッション誌は何を取り上げていたのか?
2017年6月号で創刊20周年を迎える『STREET JACK』。そのバックナンバーを紐解きながら、当時の若者ファッションシーンを振り返ります。
「足で稼ぐ古着情報」が有益なコンテンツだった時代
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写真を拡大 ブログもSNSもなかった時代、とにかくファッションの情報源はまだまだ足で稼ぐしかなかった。それは編集部だって同じ。お店にメールでアンケートぴょいっ!とはいかず、現地取材が鉄則。
今でこそ古着屋さんのブログやショッピングサイトなんて当たり前になったが、当時はFAXすら置いてません、というお店もザラにあった時代。
どんな古着が置いてあるか、それは足で稼ぐしかなかった。
それが全国となると、我々編集部としても、途方も無くバイタリティにあふれた取材力が必要だったのだ。
それは取材する側だけじゃない。買う側だってそうだ。確かに古着屋巡りで体験できる、掘り出し物を見つけたときの宝探しのような感覚は今でも残っているが、あの頃の未開拓の地に足を踏み入れるようなドキドキ感たるや。
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写真を拡大 原宿から渋谷にかけては、今もなお日本有数の「古着屋密集地帯」である。2000年当時と変わらず営業している店舗も多く、その歴史の長さを感じさせる。
「今はバリューがあるからだ!」「古着っぽいアジを再現した新作があるから!」「そもそも若い子が服を買わないからだ!」…いろいろ意見がある。
しかし、そもそも「何もないところから価値を見出し探し出す」古着の大航海時代が終わり、今や宝探しをし尽くした大人たちの手によって「これは◯年代の古着で、これぐらいの価値があるよ〜」と丁寧にナビゲートされるという、古着の観光旅行時代になってしまった、という事実も忘れてはならない。
ともあれ、ファッション誌の企画構成同様に、「古着探し」もまた、牧歌的な時代だったのである。
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写真を拡大 「何もないところから見つける」楽しみは減ったとはいえ、古着探しの海賊たちは宝探しの結果、貴重な歴史的資料を残してくれた。それもまた、90年代後半の古着ブームの功績といえよう。